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2014/03/20

PandoraやSpotifyに見る日本の音楽業界の可能性?


※今日のブログは長文です。

まず初めに、私は音楽関係者ではなく、一介の音楽好きなアメリカ在住の日本人女性です。元IT業界に身をおいていた音楽好きとして、最近の日本の音楽業界について思うことを書きたいと思います。

まず初めに私と音楽について

私の人生の中で「音楽」はかなり重要なFactorを占めます。辛いことがあったときはもちろん、楽しい気分のときなど常に音楽がそばにありました。

私が音楽に目覚めたきっかけは明確には思い出せませんが、小学校の頃から色々なJ-POPをレンタルして聞いていた覚えがあります。
安室奈美恵さん、SPEED、相川七瀬さん、LINDBERG、田村直美さん等々、女性アーティストの曲を好んでいました。小室ファミリーもかなり聞いていた気がします。

そして、中学の頃から高校2年生まで、ビジュアル系バンドにはまっていました。毎月のようにライブに行っていました。この当時はビジュアル系ブームだったので、代表的なところでいえばGLAYとかL'Arc~en~Cielあたりが全盛だった時代です。後は椎名林檎さんも大好きでした。売れる前に某ラジオ局のイベントで見たなぁ。

高校に入り、少しずつビジュアル系バンドのブームが自分の中で去っていく中、当時のJ-POPは女性の歌姫が乱立する時代でした。宇多田ヒカルさんはデビュー前のラジオも聞いていたし、浜崎あゆみさん、倉木麻衣さん、MISIA、小柳ゆきさんなども聞いていました。この当時の歌姫ブームはすごかったですね。
それと同時に、当時の友人の影響で洋楽を聞き始めるようになりました。ジャンルはR&BやHip Hopが中心。有名どころではAaliyah、Mary J Bligeなどかな。今でも大好きなChante Moore、Nikka Costa、Anastaciaなどに出会ったのもこの頃です。

私の中での洋楽ブームは大学卒業まで続きました。この頃には聞く曲もかなりDeepになっていって、FunkやSoulなどいろんなジャンルの曲を聴くようになったことや、70年~80年代のSoul Musicにはまったこともありました。Aretha FranklinとかChaka Kahnとか。

長々と書きましたが、要は「私の青春は音楽とともにありました」ということがいいたかったのです。

ただ、社会人になって時間が取れなくなったので、日々音楽は聴いているものの、学生時代に聞いたものをずっと聞くばかりで、新しい音楽の開拓は学生時代ほどはできていなかった状況でした。まぁ、主に邦楽アーティストのライブは年に2回くらいは行ってたけど。

アメリカに来て音楽の楽しみを再発見

そんな私ですが、アメリカに来て音楽の楽しみを再発見しました。「Pandora」や「Spotify」というインターネットサービスによって。

2014年3月20日現在、日本ではサービスを行っていない模様ですが、近い将来に上陸する動きがあるのは間違いなさそうです。
※参考1: Pandoraが日本で採用を始めている件。Program Manager, Automotive (Contract)

Pandoraとは?
簡単に言うならばアメリカ発の「インターネットラジオ」です。自分の好きなアーティストやジャンルを指定することで好きな音楽を聞くことができます。勝手に流れます。
Pandora iPhone アプリ

このサービスのキモは「評価機能」。出てくる曲を自分で評価できるのですが、これを続けていくとより自分好みの曲が流れるようになるみたいです。残念ながらお気に入りの曲をプレイリストにできたりはしないんですが、気に入ったらAmazonやiTunesなどで買えるリンクがついています。

もちろん、無料で使えます。なのでアプリの中に広告がたくさんあります。曲と曲の間に音声でCMも流れます。月$3.99の有料版を使うと広告が出なくなったりするみたいです。


Spotifyとは?
スウェーデン発の「音楽聴き放題ストリーミングサービス」です。こちらも無料で聞くことができますが当然広告はあります。そして、月$9.99の有料版もあります。広告がでなくなったりするらしいです。
Spotify iPhoneアプリ

Pandoraとの違いはもはやあんまりなくなってきているのですが、Spotifyは好きなアーティストを自分のお気に入り登録できたりプレイリストが作れたり、Social Mediaでお気に入りのプレイリストを共有できたりするみたいです。



私のお気に入りはPandora。車に乗っているときはいつもPandoraを流しています。Spotifyは能動的に音楽を探しに行く人向けで、Pandoraは受け身といったら失礼ですが、手軽に自分好みの音楽を楽しみたい(提案してほしい)人向けじゃないかなと思います。どちらも日本に上陸したとしたら、日本ではPandoraの方が受けそうな気がするな。日本人はGoogleよりYahoo!が好きじゃないですか(私の周りの人を見た場合での推測ですが)


世界のDigital Music市場のトレンド

そして、少し目線を変えた話をします。私が最近驚いたことなのですが、Global recording organization IFPIというところの2013年に関するリサーチ(※)によると、音楽のダウンロード販売(iTunesなど)は、2013年からマイナス成長に転じたとのこと。

また、「世界のDigital Music市場で売上の伸びが大きい分野はストリーミング。昨年対比で+51.3%の成長」とのこと。Spotifyの影響が大きいとのことだと思います。

(※)The US recorded music market grew by 0.8 percent, according to the estimate.  Europe also gained for the first time in a decade, but the IFPI did not specify by how much.(Streaming Music Is Now Worth $1 Billion Worldwide… From Digital Music News)
とあるように、欧米諸国では音楽市場の成長鈍化を何とか食い止めたような文脈で書かれています。前述のPandoraやSpotifyの影響ですね。



日本の音楽市場のこれから

他にもいろんな記事を見て思うのは、Digitalへのシフトが諸外国ほど日本は進んでいない気がしています。しかし、「レコード音楽(CDなど)の市場規模は日本が最も大きい」ということはご存知でしょうか?
(※)Revenues in Japan, recently ranked as the largest market in the world for recorded music, dropped 16.7 percentas physical and ringtone products plunged.(Streaming Music Is Now Worth $1 Billion Worldwide… From Digital Music News)

近年世界で最もレコード音楽の市場規模が大きいとされる日本では、CDと着うた・着メロ等を含めても2013年では昨年対比で-16.7%のダウン成長。減りましたね。。。

近年の日本の音楽市場を支えているのは、出す曲がミリオンを連発している数少ない存在であるAKB48などのアイドル産業かと思いますが、それ以外が売れてないってことになるのだろうと思います。最近アイドル以外のブームってあんまりない気がするんですよね。。
アイドルの方たちもプロ意識を持ってパフォーマンスしているのでしょうけれど、音楽性がそこまで好きになれず、だからか私はあんまり売れ筋のJ-POPを聞かなくなりました。

ただ、日本において(Digitalの売上の少ない現状では)、CDが売れないからArtistの生活もかなり苦しいんじゃないかと思うんです。特に、駆け出しのArtistの人とか実力派のArtistとか。音楽を志す人が減ってしまうのではないかと危惧します。

CDが売れないから広告費を回収できないのでPromotionにも力が入れられない。Promotionしないから新しいリスナーに知ってもらう機会がなくてCDが売れない。。。という負のスパイラルになっているのではないかと。。

だからこそ、世界市場で伸びているストリーミング、Subscriptionのサービスが日本でも広まることで、音楽再生のロイヤリティによる売上が向上すればよいのですが。(日本もDigitalへのシフトを加速させれば、諸外国のようにパッケージで減った分の売上がカバーできるかどうかは断言はできませんけれど、打てる手は打つべきだと思います。)

そうすることで、音楽を志す人・才能のある人に少しでも多くのチャンスが与えられる事を望みます。
私が前述したとおり、「今まで触れたことのない良質の音楽を簡単に発見できるストリーミングやSubscriptionサービス」は、リスナー側だけでなく、発信するArtist側にもメリットが大きいのではないかと思います。


ただ、前述のリサーチで
There is not yet one subscription or streaming service that is profitable.
とあるように、ストリーミングやSubscriptionサービスで収益化出来ている企業(利益を出している企業)は2013年の段階ではないようなので、運営企業にとっては厳しいんでしょうけれども。。。


ということで、一介の音楽好きが長々と偉そうに語ってしまいましたが、それも、日本の音楽市場がもっと豊かになってほしいという思いからです。アイドルばかりでつまらないもの。。


読んでいただいた方々に感謝します。ありがとうございました。(ロジックが破綻していたらご指摘ください)

2 件のコメント:

  1. 長文読ませていただきました!
    Spotifyの日本上陸を待ちこがれている一介の音楽好きです。ラジオで好みのジャンルの音楽を聴きながら気に入った曲があったら買えたらいいのに、と思っていた私にとって最適?な形のサービスだと思ってます
    ストリーミングサービスの成長や、日本の音楽市場の事情など踏まえて最近の動向を分析しているあたりはすごく参考になりました
    なので、私からはちょっとエンジニア目線でコメントさせていただきますー

    日本では電車通勤時にこういったサービスを利用することが多そうですが、回線の品質、バッテリー消費などがやや難ありかもしれないです
    ただ、大容量の安価なモバイルバッテリーも出ていますし、東京メトロなどでは地下でも快適に回線がつながるので都心を中心に利用者が増えて行くのかな、と予想しています
    あとは、欧米向けのサービスを日本人好みにローカライズするところで成功すれば音楽好きの人には受けそうです
    日本人は「みんなはこれを聴いています」みたいな感じでレコメンドしてくれる機能があると嬉しいかも。あとは、自分でいちいち評価するよりも、気に入らない曲だったら早送りする機能があって、最後まで聴いた曲を自動で分析してレコメンドしてくれる機能もいいかもしれないです
    そうなると、視聴履歴ビッグデータの活用、分析が重要になりそうです
    英語を日本語に翻訳するのももちろん重要ですが、そういった細かい日本人向けのローカライズが受けるか受けないかを分ける気がします
    どこかのキャリア(メーカー)が、この2社と提携して、Android端末にプリインストールサービスとして入れておけばわりとすんなりと広まるのかも

    まとまりがなく書いてしまいましたが、こういった試みは日本でも新しい形の音楽市場をつくっていくかもしれないですね
    昔、インディーズアーティスト向けに楽曲をアップロード、販売できるサイトをつくったことがありますが、ダウンロード配布しかなかったため楽曲をDRMエンコードして購入という形にしたところ、まったく売れなかったという思い出があります。そりゃ、まったく知らないアーティストの楽曲を、いくら安くてもまず買ってみよう!っていうのがまずムリがある発想です。でも、こういう風にストリーミングで聴ける形にしたら「気に入ったら買う」ことができるので新しい可能性を切り開けそうです
    私は期待しておりますー!

    返信削除
  2. Rikaさん
    コメントありがとうございました。エンジニア目線参考になります。

    コメントに頂いた内容からいくつか。

    ◆評価機能について
    評価する機能はもちろんあるんですが、気に入らない曲はスキップすることができます。ただ、私は無料版しか使っていないので頻繁にスキップするとすぐAdが出てくるので困りものではあります(笑)

    ◆日本での展開について
    回線品質の問題はありそうですね。。特に都心部は。私の場合は家にいるときと車の運転中にしか使っていないのですが、車の運転中でも途切れないので重宝しています。幹線道路沿いは遮るものが少ないからかもしれません。よって、地方でも流行るPotentialはある気がするんです。

    あと、「みんなはこの曲を聴いています」の機能は日本人向けだと必要そうですね。もしくは「あなたと似た趣向を持つ人はこの曲も聴いています」的な機能かと。

    このサービスをある程度無料版で使っていて思うことは、気に入った曲がいつも流れるというわけでもなく、中でも特に気に入った曲またはアーティストをずっと聴きたい場合はやっぱり音源を買う必要が出てくるなぁということです。そう言う意味でもSpotifyやPandoraは使い方次第で現状の音楽売上を毀損しないんじゃないかなぁと思っていて。業界の方達がそちらの方向にDrasticにシフトするかどうかが見物だなぁと思います。(どこか1社が早くシフトして成功事例を作って欲しいなと個人的には思います)

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