結論、「グローリー/明日への行進、もといSelma(セルマ)」は是非見るべしと思いました。理由は後ほど書きます。
※2015年2月13日現在、まだ日本では公開されていないようですね。邦題が何になるのかが個人的に気になるところ。「セルマ」じゃ日本人には訴求力がないので「キング牧師」とかのKeywordをつけるんでしょうけどね。
<追記:2015/05/6>
Gagaによる日本語公式サイトが出来ていました。公開日は6/19に決まったみたいです。
ずっと気になっていた邦題は「グローリー/明日への行進」になったみたいですね。まぁ確かにこの方が分かりやすいでしょうね。
<映画「Selma(セルマ)」とは?>
Wikipediaより引用します。
『セルマ』(Selma) は、2014年のアメリカの歴史ドラマ映画。ポール・ウェブによる脚本をエイヴァ・デュヴァーネイが改稿・監督した。ジェームズ・ベヴェル、ホジア・ウィリアムズ、南部キリスト教指導者会議のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア、学生非暴力調整委員会のジョン・ルイスによって先導された1965年のアラバマ州セルマからモンゴメリーへの行進を題材とし、デヴィッド・オイェロウォがキング、トム・ウィルキンソンが大統領リンドン・ジョンソン、ティム・ロスがジョージ・ウォレス、カルメン・イジョゴがコレッタ・スコット・キング、コモンがベヴェルを演じた。
つまり、キング牧師こと「Dr.King」が「黒人(アフリカン・アメリカン)に対する選挙権の規制の撤廃を求めて行進した」内容を記した映画です。
<南北戦争と公民権運動>
以下の話は今行っている英語の授業で先生から聞いた話が元になっています。
歴史学者ではないので、史実の認識に齟齬があるかもしれません。
アメリカでは主に南部(農業が主力産業の地域)で奴隷制が過去にあったことはご存じの方が多いと思います。
1861年-1865年にアメリカで南北戦争がありましたが、このときの争点の一つが「奴隷制撤廃」でした。「奴隷制撤廃」を訴える北部に対して、「奴隷制継続」を臨む南部が対立。内戦となりました。
南部は農業が盛んで主な労働力が黒人奴隷の方だったのです。奴隷制が撤廃されると労働力を失ったりコスト高になること、つまり産業が成り立たなくなることが懸念されたのでしょう。
※この際の南部軍の旗がこちら↓です。(Selma(セルマ)を見る前に記憶の片隅に入れておくといいかも)
南北戦争の結果、時の大統領リンカーンにより「奴隷制の撤廃」が宣言されました。
奴隷制が撤廃され、法の下では平等となったアフリカン・アメリカンの方達。
「法の下」というところがポイントです。
実際の所、特に「Deep South」と呼ばれるミシシッピ州、アラバマ州などを中心に、黒人差別は根強く残りました。それも100年間以上経っても。1950年代くらいまで続いたそうです。(←戦後ですよ!)
どのようの残ったかというと、例えば選挙権についてです。選挙権は与えられているものの、黒人の方が投票をするためには別途申請が必要だったそうです。その申請が厄介、というかほぼ拒否される代物だったようなのです。
どのようにして拒否されるのかというと、白人の役所の人から諸々のテストをされるようで、例えば、
- アラバマ州のCounty(群)の数
- それぞれのCountyの名前
- それぞれのCountyの役所の担当者の名前
などの難解な質問を「間違えるまで」されるわけです。
つまり、黒人の方々は選挙権を持ちながら実際にはごくわずかの方しか投票できなかったようなのです。
(補足)
南部のルイジアナ州ではPaper Testが行われていたようなのですが、最近の調査で名門・ハーバード大学の学生30名程度がその問題を解いたところ、誰一人として全問正解しなかったようです。(全問正解しないと投票できない) 私も解いてみましたが、そもそも問題の内容が分からない。。。
興味のある方はこちらからどうぞ。
そのような歴史的背景から、投票に対する理不尽な障壁の撤廃を求めてキング牧師などを中心に「公民権運動」が行われていきました。
映画「Selma(セルマ)」は、公民権運動の中の一環と言われる象徴的な出来事を描いた映画だそうです。
<映画「Selma(セルマ)」の感想>
- 「世界のリーダー」と呼ばれていた(呼ばれている?)アメリカで、こんなにも悲惨で悲しいことが今から約70年前まで行われていたことを「実感」として「視覚的なイメージで」捉えることが出来て、衝撃を覚えました。
映画の前半で、白人の警官が非暴力の黒人の方へ発砲するシーンなどがあるのですが、本当に悲惨でした。前述のテストの様子なども映画に出てきます。目を疑うような光景です。この事実を知っておくべきだと思いました。人間はなんとむごいことが出来るのであろうと。現代を、そして日本人として生まれ育っている私からは想像もつかないことでした。
- 「世論の力」ってすごい、と感じました。
「Selma(セルマ)」という街を起点とした行進。合計3度行われたようです。
初回ではSelma(セルマ)と隣の町を結ぶ橋の対岸に多くの白人機動隊の人がいました。
なんと、彼らは黒人の参加者達に催涙ガスをまき、警棒で殴り、馬で追い払うなどむごい有様。
そのむごい有様が全米中に(世界中に?)テレビ放映され、多くの人の目にさらされることとなりました。
その結果、世界中からアメリカが避難をされたことは想像に難くありません。
そして、その様子を見た「Deep South」以外のアメリカの方から協力者が多数現れるのです。白人の方達を味方につけることができたわけです。キング牧師は「白人の中から味方につく人を見つけないと、目的は達成されない」と思っていたのでしょうね、第1回の行進後のテレビインタビューで参加者を募っていたようですので。協力者達は、第2回、第3回と回を経るごとに増えていき、大きなムーブメントとなりました。
結果として、時の大統領ジョンソン大統領の尽力により1964年に「公民権法」が制定され、目的は達成されたのでした(他の面での差別は根強く残ったことは言うまでもない)。
世論が政治を大きく動かすことが出来るんだなということを具体的なイメージで描くことが出来たのです。日本で「世論」が政治を大きく動かした事例って私の記憶が確かであればあまりないのですが、こういう話を見ると、「選挙に行って、投票して、自分の意見を国政に伝えること」がとても大事なことだと思えるようになりました。改めて。
<終わりに>
終わりにですが、今でもアメリカでは「差別」があります。
※もちろん、日本にだって「差別」はあります。論旨からずれるので書きませんけど。
黒人差別も根強いそうですし、現代社会では移民の方達にあるようです。
選挙の際に本人確認のため「ID(写真付身分証明書)」が必要なようですが、そのIDを移民の方が取ることは困難なようなのです。IDを取るにはいろんな書類が必要だしまずもって煩雑なこと。そして、アメリカに移民する人達は経済的な豊かさ、成功を求めて来る方が多いであろうという推測から、貧困で免許そのものを取れない・取らない人達が多いのではなかろうかと。貧困であれば英語が出来ない人達も少なからずはいるのでしょうし。(この辺は私ももう少し勉強が必要だと思いますけども。。)
Selma(セルマ)は、「差別」「人間の尊厳」「自由とは何か」など、多くのことを考えさせられる映画でした。
日本でも公開され、多くの人達が見るべきだと思っています。
あとね、エンディングテーマがめちゃくちゃCool!Music Video貼っておきます。John Legendの「Glory」という曲です。エンドロールが終わるまで見ちゃいたくなるくらいかっこいい。アカデミー賞の主題歌賞を取ったので嬉しかったです。
※初の英語での映画鑑賞、事前にストーリーを見ていったので理解できました。英語の勉強にもなったなぁ。てか、キング牧師役の役者さん、特にスピーチの時の話し方が分かりやすくて好き。あれはブリティッシュアクセントですね。
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